楽譜に「Moderato(モデラート)」と書いてあるけど、メトロノームを何BPMに設定すればいいのか迷ったことはありませんか?結論から言うと、モデラートのBPMは108〜120が目安ですが、実はこの数値には幅があり、情報源によって112〜120や100〜120など異なる表記が存在します。なぜならモデラートには国際的な厳密な定義がなく、音楽表現の自由度に委ねられているからです。大切なのは「この曲で最も音楽的に聞こえるテンポはどこか」を考えることで、メトロノームはあくまでその判断を助ける道具にすぎません。
モデラートのメトロノームBPMは108〜120?それとも別の数値?
モデラートはイタリア語で「控えめに」「中庸に」を意味する速度記号で、音楽用語辞典(Merriam-Webster Dictionary)ではアンダンテとアレグレットの間に位置づけられています。多くの音楽教育サイトでは108〜120 BPMが標準的な範囲として紹介されていますが、実際には情報源によって表記にバラつきがあるのが実情です。
よく見られるモデラートのBPM範囲の例を挙げてみましょう。
| 情報源の種類 | BPM範囲の例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 一般向け音楽辞典 | 108〜120 | 最もスタンダードな数値 |
| 教育機関系の資料 | 112〜120 | やや速めの設定傾向 |
| クラシック専門の解釈 | 100〜120 | 幅広めに取る傾向 |
| アナログメトロノームの目盛り | 108〜120付近 | 機種によって表記が異なる |
このように範囲が異なるのは、どれかが「正しくてどれかが間違っている」からではなく、モデラートという言葉自体に厳格な数値基準がないからです。そもそも音楽用語としての速度記号は、演奏家の解釈や楽曲の性格に応じて柔軟に扱われるのが本来の姿です。
メトロノームの数値通りに弾いても音楽的に聞こえないのはなぜ?
X(旧Twitter)やYahoo!知恵袋などの音楽学習者コミュニティを調査したところ、多くのユーザーが「メトロノームの数値通りに弾くと、機械的で音楽的に聞こえない」という悩みを抱えていることがわかりました(2026年8月時点)。また、「先生からモデラートは108〜120と言われたが、曲によっては速すぎる/遅すぎると感じる」という混乱の声も複数確認されています。
この悩みの根源は、「モデラート=108〜120」という数値を絶対視してしまうことにあるでしょう。実際には、同じモデラートでも曲の拍子や音符の密度、楽曲の性格によって体感テンポは大きく変わります。たとえば4分音符がゆっくり動く曲と、16分音符が密集して動く曲では、同じ120 BPMでも聴こえ方や演奏のしやすさがまったく異なるのは当然のことです。
「モデラート」という指示はあくまで「中庸な速さで」という雰囲気や性格を表す言葉であり、メトロノームの数値はその解釈を助けるための参考値にすぎません。
モデラートをメトロノームで設定するときの実践的な考え方
では実際に、モデラートの楽曲を練習するときはどう考えればよいのでしょうか。ここでは3つのステップを提案します。
ステップ1:まずは108〜120 BPMで試してみる
最初の目安として、この範囲内でメトロノームを設定してみましょう。アナログ式のメトロノームを使っている場合は、振り子の重りを108〜120の目盛りに合わせてみてください。デジタル式のメトロノームやスマートフォンのアプリを使っている場合は、BPMを直接入力します。このとき、「正解の数値」を探すのではなく、「この曲に合いそうな数値はどれか」という感覚で選んでみてください。
ステップ2:曲の雰囲気や音符の密度を考慮して微調整する
設定したテンポで実際に演奏してみて、「速すぎる」「遅すぎる」「なんか違う」と感じたら、積極的に数値を上下させてみましょう。8分音符や16分音符が多くて指が回らない場合は少し遅く、逆にゆったりした旋律で余裕がある場合は少し速くしてみるのも手です。大切なのはメトロノームに合わせることではなく、あなたの演奏が音楽的に聞こえるかどうかです。
ステップ3:メトロノームを外して「自分のテンポ」を体感する
最終的には、メトロノームを消して演奏してみてください。メトロノームは練習の補助具であり、本番では演奏者自身のテンポ感が求められます。メトロノームに合わせることに集中しすぎて表現力が失われるのは本末転倒です。あくまで「自分の感覚」を信じることが上達への近道です。
同じ「モデラート」でもジャンルによって解釈が変わる理由
クラシック音楽ではモデラートが伝統的な速度記号として使われますが、ジャズやポップスなどの現代音楽では、そもそも「モデラート」という指示自体が使われることはほとんどありません。代わりに、メトロノームのBPMが譜面に直接記載されることが一般的です。
これは、クラシック音楽が演奏家の解釈を重視するのに対し、現代のポピュラー音楽では制作側が意図したテンポを明確に伝える必要があるという文化の違いを反映しています。もしあなたがジャズやポップスの楽曲を演奏しているなら、「モデラート」という言葉にとらわれすぎず、その曲のグルーヴや雰囲気に合わせてテンポを決めるのが現代的で実践的なアプローチといえるでしょう。
メトロノームは「表現のための道具」—その使い方を見直そう
モデラートに限らず、すべての速度記号は作曲家が演奏家に「どんな気持ちで弾いてほしいか」を伝えるためのものです。メトロノームはその意図を実現するためのツールであって、目的そのものではありません。
今回の調査で明らかになったのは、モデラートのBPMを「108〜120」と決めつけるのではなく、「なぜこのテンポがこの曲に合うのか」を考えながら練習することが大切だという点です。もしあなたが「メトロノームに合わせるとぎこちなくなる」と感じているなら、それはむしろ正常な感覚であり、次に進むサインだと捉えてください。
まずはメトロノームで大まかなテンポを確認し、その後は自分の耳と感覚を頼りに、その曲だけの「最適なモデラート」を見つけていきましょう。その先にこそ、本当の音楽表現があるはずです。

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