「MIDIキーボードを自作してみたいけど、何から始めればいいのかさっぱりわからない」。そんなあなたのために、この記事では実際に動くMIDIキーボードを完成させるまでに必要な情報をギュッとまとめました。
結論から言うと、MIDIキーボードの自作は**「マイコン選び」「キーベッド(鍵盤部分)の調達」「ファームウェアの書き込み」**という3つの大きな壁を乗り越えれば、決して特別な技術がなくても実現可能です。ただし、一番の難所は「キーベッドをどうやって入手するか」。市販のMIDIキーボードを分解して流用するか、専門のキーベッドを購入するか、あるいはボタン式で代用するか。ここを最初に決めるのが成功の近道です。
そして見逃せないのが最新動向。2026年に入ってから、Raspberry Pi Pico(RP2040)を使ったオープンソースのMIDIキーボード設計がGitHubで続々と公開され、従来のArduino一択の時代ではなくなっています。また、チェコのブルノ工科大学では2026年6月にFatar TP/9S鍵盤をホールセンサー化してMPE対応に改造する研究が修士論文として認定されるなど、自作の可能性は確実に広がっています。
この記事では、実際に検索してもなかなか見つからない「マイコンの選び方」と「キーベッドの入手ルート」を中心に、初心者がつまずきがちなポイントを徹底解説していきます。
MIDIキーボード自作を成功させるために最初に決めるべき3つのこと
いきなり「作り方」に入る前に、ちょっとだけ立ち止まって。MIDIキーボードの自作って、大きく分けて**「どんな鍵盤にするか」「どんなマイコンを使うか」「どんな機能を実装するか」**の3つを最初に決めておくと、あとはスムーズに進みます。
逆に言えば、ここを決めずに部品だけ買ってしまうと、後で「あれ?このスイッチ、このマイコンで動くの?」ってなって泣きを見ます。実際、Xやブログでも「ICを爆発させた」「基板が動かなかった」という失敗談が複数見られました。そうならないためにも、まずはこの3つを順番に決めていきましょう。
キーベッドの入手ルートは3パターンある
これが意外と盲点。ネットで「MIDIキーボード 自作」って検索すると、キットの紹介記事はたくさん出てくるんですが、肝心の**「鍵盤部分(キーベッド)ってどこで買うの?」**という情報がほとんどないんですよね。
実際には以下の3パターンがあります。
パターン1:市販のMIDIキーボードを分解して流用する
一番現実的な方法です。中古のMIDIキーボードを安く入手して、内部のキーベッドだけを取り出して使います。ただし、どの機種が流用しやすいかは事前にリサーチ必須。Fatar社製のキーベッドを搭載しているモデルなら、比較的汎用性が高いと言われています。
パターン2:Fatar社製などの汎用キーベッドを購入する
Fatar TP/9Sといったモデルが代表的で、プロ向けMIDIキーボードにも使われている信頼性の高いパーツです。ただし、入手ルートが限られていて価格もそれなり。先述のチェコの研究事例では、このTP/9Sをホールセンサー化してアフタータッチ機構まで自作していました。
パターン3:クロマチックボタン型(パッド型)で作る
物理的なピアノ鍵盤ではなく、16個程度のボタン(Cherry MX互換スイッチなど)を並べてクロマチック(半音階)対応のコントローラーとして使う方法。こちらはキーベッドの調達が不要なので、自作初心者にはこのルートが一番ハードルが低いかもしれません。
マイコン選びで失敗しないための比較表
次に決めるべきは「頭脳」となるマイコン。ここを間違えると、USBでPCに認識されなかったり、思ったようにMIDI信号が送れなかったりします。
2026年現在、MIDIキーボード自作でよく使われるマイコンを比較してみました。
| マイコン | USB-MIDI対応 | ワイヤレス | 処理能力 | 開発情報の豊富さ | 参考価格 | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Arduino Pro Micro / Leonardo | 標準対応(ATmega32U4) | 不可(別途モジュール必要) | やや低い(8bit, 16MHz) | 非常に豊富 | ¥1,500〜2,500 | とにかく情報量を頼りたい初心者 |
| Raspberry Pi Pico / RP2040 | 対応(要ファームウェア実装) | 不可(別途モジュール必要) | 高い(32bit, 133MHz) | 増加中(Piano2040等の事例あり) | ¥1,000〜1,500 | コスト重視・LED制御も楽しみたい人 |
| ESP32 / ESP32-S3 | 対応(Web Bluetooth経由可) | BLE標準対応 | 高い(32bit, 240MHz) | やや少ない(KB1等の新事例あり) | ¥1,500〜3,000 | ワイヤレスMIDIを実現したい人 |
| Teensyシリーズ | 標準対応(MIDIライブラリ強力) | 不可(別途モジュール必要) | 高い(32bit, 数百MHz) | 中程度(プロ向け情報が多い) | ¥4,000〜6,000 | 低遅延・高精度を求める上級者 |
(出典:各メーカー公式サイト及びGitHub公開リポジトリの情報を基に2026年9月時点で作成)
この表で注目してほしいのがRaspberry Pi Pico(RP2040)。従来のArduino系に比べて圧倒的に安価で処理能力が高く、2026年に入ってからもPiano2040やmechmidi1といったオープンソースのプロジェクトが次々と公開されています。情報量はまだArduinoに敵いませんが、伸びしろが大きいのは間違いないです。
ちなみに、Arduino Pro Microが「USB-MIDI標準対応」でお手軽なのは確定事実。一方でRP2040はTinyUSBやCircuitPythonといったファームウェア実装が別途必要になりますが、一度動いてしまえばArduino以上のパフォーマンスを発揮するケースも多いです。
実際に作る前に知っておきたい「お金」と「時間」の現実
ネットの情報って、つい「作れます!」ってノリで終わっちゃうことが多いじゃないですか。でも実際に作ろうとすると、**「部品代が思ったよりかかった」「1ヶ月以上かかった」**という声は少なくありません。
実際にSNSやブログで見られたリアルな声を集約すると:
- ポジティブな声:「自分好みのレイアウトや機能を実装できるのが自作の最大の魅力」「QMKファームウェアを流用すれば思い通りに動く」
- ネガティブな声・つまずきポイント:「必要な知識(電子回路・はんだ付け・プログラミング)が多すぎてハードルが高い」「必要なパーツをすべて揃えると出費がかなりかさむ」「はんだ付けのやり直しで手戻りが発生した」「動くようになるまでの期間が1ヶ月以上かかる」
特に、**「キーベッドをどこから調達するか」**という問題は、実際に作った人の多くが直面する最大の壁でした。これが原因で「自作を諦めて市販品を買った」というケースもあるほどです。
かといって、最初からキットを買えば簡単かというと、遊舎工房の「chromatoneminipico」や「giabalanai」といった有名キットでも、キースイッチやキーキャップは別途購入が必要なことがほとんど。総額を計算すると、想像より出費がかさむのが現実です。
それでも「自分だけのMIDIキーボードを作りたい」という情熱があるなら、最初から完璧を目指さず、まずはボタン式の簡易MIDIコントローラーから始めてみるのが、長続きするコツかもしれません。
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オープンソース事例に学ぶ。2026年最新の自作プロジェクト紹介
最近のMIDIキーボード自作シーンで熱いのが、GitHubで公開されているオープンソースのプロジェクト群。特にRP2040を搭載したRaspberry Pi Picoを使った事例が増えていて、設計図やファームウェアが無償で公開されています。
代表的なものをいくつかピックアップすると:
- Piano2040(GitHub / Epicpkmn11、2026年1月公開):RP2040ベースのMIDIキーボードファームウェア。USB MIDIとPCキーボード出力の両方に対応。3Dプリント用の筐体ファイルもThingiverseで公開されています。
- mechmidi1(GitHub / konsumer、2025年7月公開):RP2040-Zeroを使用した20キーMIDIコントローラー兼シーケンサー。OLEDディスプレイ、ロータリーエンコーダ×2、RGB LED×20を搭載。CircuitPythonで書かれているので、Pythonに慣れた人には取り組みやすい。
- KB1(GitHub / PocketMidi、2026年8月公開):ESP32-S3ベースのオープンソースMIDIキーボードコントローラー。Web Bluetooth経由で設定できるアプリまで用意されているのが特徴。ハードウェア設計図はCERN OHL、ファームウェアはMITライセンスで公開。
これらのプロジェクトをそのまま真似するもよし、自分の好みに改造するもよし。いずれにせよ、2026年現在は「ゼロからコードを書く」必要はほとんどありません。先人たちの知恵を借りられる時代なのです。
どうしても物理鍵盤にこだわりたいなら。MPE対応・アフタータッチの未来
ここまで「まずはボタン式で」という提案をしてきましたが、どうしても「ピアノみたいな鍵盤が欲しい」という人もいますよね。わかります。
そんなあなたに注目してほしいのが、先述のチェコ・ブルノ工科大学の研究事例(2026年6月修士論文認定)。Fatar TP/9Sというプロ仕様のキーベッドをホールセンサーで非接触化し、MPE(MIDI Polyphonic Expression)に対応させるという、かなり尖った内容です。
ポイントは制御にRaspberry Pi Pico 2を使っていること。アフタータッチ機構もTPU素材で自作していて、「買えないなら作る」精神が徹底されています。
MPEって何?という人のために簡単に説明すると、指ごとにピッチベンドや音色の変化を独立してコントロールできるMIDI 2.0時代の新しい規格です。2026年現在、市販のMPE対応MIDIキーボードはまだ高価なものが多いので、自作で挑戦する価値は大いにあります。
ただし、これは明らかに上級者向け。初心者が最初から目指すと燃え尽きる可能性大です。まずはシンプルなMIDIコントローラーを作って動かす喜びを味わってから、徐々にステップアップしていくのが現実的だと思います。
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まとめ。最初の一歩は「自分に合ったマイコンとキーベッドの組み合わせ」を決めること
MIDIキーボード自作の世界は、2026年現在、かつてないほどにエントリーハードルが下がっています。Arduino Pro Microのような定番マイコンから、RP2040やESP32といった新世代マイコンまで選択肢は広がり、オープンソースの設計データも豊富に揃っています。
何より大事なのは**「何を作りたいか」ではなく「どうやってキーベッドを調達するか」**という現実的な問題を最初にクリアすること。市販MIDIキーボードの分解、Fatar社製キーベッドの購入、ボタン式での代替。この3つの選択肢を、自分のスキルと予算に照らし合わせて選んでください。
そして、マイコンはArduino Pro Microが初心者向け、Raspberry Pi Picoがコスパ最強、ESP32がワイヤレス志向という住み分けを意識すると、迷いが減るはずです。
最後に一つだけ。自作MIDIキーボードに完璧は求めないでください。最初はベロシティ固定でも、音が出るだけで感動します。そこから少しずつ機能を足していけばいい。この記事を読んでいるあなたの「作ってみたい」という気持ちが、最初の一歩を踏み出す原動力になることを願っています。






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