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メトロノーム「モデラート」の正体はBPM96じゃない?機械に騙されない中くらいの速さの見つけ方

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「楽譜に『Moderato』って書いてあるけど、メトロノームを何に合わせたらいいんだろう?」——この疑問、ピアノを始めたばかりの方なら一度はぶつかる壁です。しかも、メトロノームの目盛りを見ると「Moderato」のところに針がピタリと合っていて、「あ、これが正解なんだ」と思ってしまう。でも、ちょっと待ってください。その「96」という数字、本当にその曲にふさわしいテンポでしょうか?

結論から言います。「Moderato=BPM96」というのはあくまで目安の一つにすぎません。 実際にCASIOの電子ピアノAP-300やAP-S200の取扱説明書では、メトロノーム機能の速度標語設定値として「Moderato」にBPM96が割り振られています(CASIO公式マニュアルより)。しかし、これは機械が「とりあえずこうしておけ」と決めた初期値でしかないんです。もっと広い視点で見ると、楽器メーカーのシーアイサービスは「Moderato=76〜96」という幅を持った解釈を紹介しています。この差、どう思いますか?

今回は、「Moderato」という速度標語の本当の意味と、どうやって自分にぴったりのテンポを見つければいいのかを、具体的な楽譜やメーカーの事例を交えながらお話ししていきます。

メトロノーム「モデラート」をめぐる混乱の正体

なぜ「BPM96」が一人歩きしているのか?

メトロノームのダイヤルやデジタルアプリを見ると、「Moderato」のところに「96」と書いてあるものが少なくありません。これが原因で、「モデラート=96」という認識が広まったと言えるでしょう。先ほども触れたCASIOの説明書は、まさにその代表例です。

でも、ここで疑問を持ってほしいんです。もし「Moderato」が本当に「96」で固定された速度なら、なぜシーアイサービスの記事では「76〜96」という範囲で紹介されているのでしょうか? 実はこの「76〜96」という数字、速度標語の教科書的な定義にかなり近いんです。イタリア語の速度標語は、もともと「だいたいこのくらい」という幅を持った表現だったんですね。

メトロノームの目盛りに書いてある「Moderato」は絶対じゃない

機械式メトロノームを使っている方なら、ダイヤルに「Moderato」だけでなく「Allegro」「Andante」といった速度標語が刻印されているのを見たことがあるでしょう。あれ、便利そうに見えて実は落とし穴なんです。

なぜなら、あの刻印はメーカーが「だいたいこのあたり」と決めた位置にすぎません。しかも、メーカーによってその位置が微妙に違うことすらある。にもかかわらず、初心者の方は「ここに合わせれば正解」と思い込んでしまう。結果、曲の性格や自分自身の演奏レベルを無視したテンポで弾き始めてしまう——これ、すごくもったいない話だと思いませんか?

「モデラート」の本当の意味とは?音楽の常識を超えて

「中くらい」の速さが曲ごとに変わる理由

「Moderato」を日本語に訳すと「中くらいの速さで」です。問題はこの「中くらい」が何を基準にするかによって、まったく違う数値になりうるという点です。例えば、ブルグミュラーの「無邪気」という曲を考えてみてください。この曲は楽譜の版によって、推奨テンポが66から152まで実に幅広く変わることが知られています。同じ「Moderato」の指示でありながら、です。

これ、どういうことかと言うと、「中くらい」の感覚が、その曲の持つ雰囲気や演奏する人の解釈によって変わるからなんですね。速い曲が多い時代に書かれた曲なら、「中くらい」の感覚が現代よりも速くなることもあります。逆に、ゆったりした曲が主流だった時代の「中くらい」は、今からするとかなり遅く感じられるかもしれません。

作曲家たちがメトロノーム記号を信じていなかった理由

ここで面白いエピソードを一つ。ブラームスという作曲家は、自作にメトロノーム記号をほとんどつけなかったことで知られています。なぜか? 彼は「テンポは演奏家が曲の性格を読んで決めるべきだ」と考えていたからです。つまり、大作曲家でさえ「機械が決めたテンポを鵜呑みにするな」と言っていたわけです。

この話、シーアイサービスの解説記事でも触れられています(シーアイサービス「メトロノーム記号の読み方」)。作曲家自身がテンポの絶対化を避けていたとなれば、私たちも「96」という数字に縛られすぎる必要はないと感じませんか?

メトロノームモデラートに関するアプリレビューのリアルな声

ユーザーが実際に感じている不便さとは

メトロノームアプリのレビューを調べてみると、意外な不満がいくつか見つかりました。特に「Metronome: Tempo Lite」というアプリでは、操作性に関するネガティブな声が複数確認されています。具体的には、画面が左上に寄って表示されるバグや、ダイヤルを何回も回さないと反応しないといった点です。

これ、何を意味するかと言うと、「メトロノームを操作する」という行為自体が、テンポを探す作業の妨げになっている可能性があるということです。せっかく「この曲はもう少し速い方がいいかな」と思ってダイヤルを回しても、アプリがすぐに反応してくれなければ、テンポと曲の感覚を結びつける作業がスムーズにいきません。

ポジティブな声とネガティブな声のギャップ

同じアプリでも、起動の速さやシンプルなインターフェースを評価する声もありました。ただ、総合的に見ると、操作性や表示のバグに関する不満の方が目立ちます。特に、「多拍子(5拍子や7拍子)に対応していない」という声は、クラシック以外の音楽を演奏する方にとっては大きなネックでしょう。

上位の解説記事は「メトロノームを使いましょう」と勧めるだけで、このような具体的な不便さに触れているものはほとんどありません。実際にアプリを使っているユーザーが何に困っているのか——これを知っておくと、自分に合ったメトロノーム選びの参考になりますよ。

楽譜とメーカーで異なる「モデラート」の設定値

CASIO、シーアイサービス…3社の数字を比較してみた

ここで、実際に「Moderato」のBPMがどう設定されているのか、いくつかの情報源を比較してみましょう。

情報源該当製品/対象ModeratoのBPM設定値備考
CASIO(公式マニュアル)電子ピアノ AP-300/AP-S20096内蔵メトロノームの速度標語設定値として確定
シーアイサービス(解説記事)一般的な速度標語の目安76〜96楽典上の目安範囲として言及
楽譜(ブルグミュラー「無邪気」)東音企画版楽譜66〜152(解釈による)オリジナルと学習者用で異なるテンポが併記されている例

この表を見ると、同じ「Moderato」という言葉が、情報源によってまったく違う数値を指していることがわかります。CASIOの96は「製品としての設定値」、シーアイサービスの76〜96は「理論上の目安」、そしてブルグミュラーの楽譜に現れる幅広い解釈は「実際の音楽現場」を表していると言えるでしょう。

同じ「モデラート」でもアレグロモデラートなら?

さらに複雑にするのが、「Allegro moderato」のような複合的な速度標語です。Yahoo!知恵袋の議論(2024年9月23日付の投稿)を見ると、「これは速度指示というより表現指示に近い」という回答が寄せられています。つまり、「アレグロ(速く)とモデラート(中くらい)の中間」というよりも、その曲が持つべき「華やかさ」や「躍動感」を指示しているという解釈ですね。

別の知恵袋の回答(2008年7月26日付)でも、「曲ごとに異なる」という見解が示されています。つまり、速度標語を「BPMという数字に変換する」のではなく、「曲の性格を読み取るための手がかり」として捉えるべきだということです。

自分だけの「モデラート」を見つける実践的ステップ

メトロノームを「決める道具」から「確かめる道具」へ

ここまでの話を踏まえると、メトロノームの使い方を根本的に見直す必要があると気づきます。多くの初心者は「メトロノームがテンポを決めてくれる道具」と思っていますが、実はそうではありません。メトロノームは「自分が決めたテンポが正しいかどうかを確かめる道具」なんです。

具体的な手順を考えてみましょう。

まずは楽譜をよく読んでください。曲のタイトルや、書かれている表情記号(「dolce」=甘く、「con brio」=生き生きと、など)から、その曲がどんな雰囲気を持つのかを想像します。次に、そのイメージに合いそうなテンポを、まずは自分なりに歌ってみたり、軽く弾いてみたりして探ります。

そのあとでメトロノームを「96」に合わせてみる。もし想像していたテンポと大きく違ったら、その「96」という数字が本当に正しいのか、もう一度考え直す。場合によっては「96」よりも速い方が曲の性格に合うかもしれませんし、逆に遅い方が情感が伝わるかもしれません。

「曲の性格」と「演奏者の技量」を天秤にかける

ここで忘れてはいけないのが、演奏者の技量です。「この曲は情熱的に速く弾くべきだ」とわかっていても、今の自分の技術ではその速さについて行けない——そんな経験、誰にでもあると思います。そういう場合は、無理に速いテンポを選ぶ必要はありません。

練習の初期段階では、少し遅めのテンポで確実に弾けるようにして、徐々に理想のテンポに近づけていく。これが結局は一番効率的な練習法です。メトロノームの「Moderato」の目盛りが96であっても、まずは80くらいから始めて、だんだん上げていく。この「段階的なアプローチ」こそが、機械的な設定値を超えた、自分だけの「モデラート」を作り出す方法なんです。

メトロノーム「モデラート」を超えて——音楽表現を育むために

「Moderato」のBPMを巡る議論は、結局のところ「音楽をどう表現するか」という根源的な問題に行き着きます。CASIOの説明書が「96」と書いていようと、シーアイサービスが「76〜96」と範囲を示していようと、ブルグミュラーの楽譜が「66〜152」という幅を持っていようと、大切なのは「その曲があなたにどう響くか」です。

ギロックの「人魚の歌」や「音もなく降る雪」といった曲にも「Moderato」の指示は出てきますが、それぞれの曲で求められる表現はまったく違います。「人魚の歌」なら少し波のような揺らぎを感じさせるテンポ、「音もなく降る雪」なら静けさを強調するようなテンポ——そういった曲ごとの性格を読み取ることが、数値以上の意味を持つのではないでしょうか。

メトロノームはあくまで道具です。その目盛りに「Moderato」と書いてあっても、そこに針を合わせる前に、一度楽譜と向き合ってみてください。その曲が何を伝えたいのか、どんな世界を見せたいのか——その問いかけこそが、機械的な数値では測れない、あなただけの「モデラート」を見つける鍵になります。

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