「電子ピアノを買うならヤマハ。でも、88鍵盤のモデルが多すぎてどれを選べばいいかわからない…」
そんな悩みをお持ちの方に、まず結論をお伝えします。ヤマハの88鍵盤電子ピアノには、GHS、GH3、NW-GH3、GrandTouch-S、BHSという5種類の鍵盤グレードが存在します。この違いを理解せずに選ぶと、「思っていたよりタッチが軽すぎた」「本物のピアノの重さと全然違う」といった後悔につながりかねません。
この記事では、ヤマハ公式の情報や英語圏の専門レビューを独自に横断比較し、鍵盤グレードという軸だけでモデルを整理してみます。価格や音源機能ももちろん大事ですが、毎日指が触れる「鍵盤の感触」こそ、長く使い続けるうえで最も重要なポイントだからです。
ヤマハの88鍵盤には5種類の鍵盤グレードがある
まず押さえておきたいのは、ヤマハの88鍵盤電子ピアノに搭載されている鍵盤機構は、大きく分けて5つあるということ。モデルごとに鍵盤の素材も、重さのバランスも、センサーの数も異なります。
公式サイトや製品カタログではそれぞれ「GHS」「GH3」「NW-GH3」「GrandTouch-S」「BHS」といった名称で紹介されていますが、これらがどう違うのかを一覧で比較した日本語の資料はほとんどありません。そこで今回は、各鍵盤グレードの特徴を整理してみました。
GHS(Graded Hammer Standard):エントリーモデルに搭載されるスタンダード
GHSは、ヤマハの電子ピアノの中で最も多く採用されている鍵盤です。P-125やP-45といった、入門〜初心者向けモデルに搭載されています。
特徴は、低音域が重く高音域に向かうほど軽くなる「漸層(ぜんそう)重锤」構造。アコースティックピアノのタッチ感を手頃な価格で再現しようとするヤマハのエントリーグレードといえます。センサーは2センサーで、木製鍵盤のような高級感はありませんが、初心者が練習を始めるには十分な性能です。
ヤマハ公式の製品ラインナップ上でも、P-45は「よりエントリー向け」、P-125は「次世代スタンダード」と位置付けられており、最大同時発音数やスピーカー出力で差があります。価格差を考慮すると、「とにかく予算を抑えたいならP-45、少し余裕があるならP-125」という選び方が適切でしょう。
GH3(Graded Hammer 3):3センサーで表現力が向上
GH3は、GHSの上位グレードとして位置づけられます。最大の違いは、センサーが3つになったこと。これにより、鍵盤を素早く連打したときの音の抜けが格段に良くなります。
また、エスケープメント機構(アコースティックピアノでハンマーが弦を離すときの機構)が追加されているのもポイント。この機構があることで、グランドピアノのような「カチッ」とした感触が再現され、繊細なタッチコントロールが可能になります。
現行モデルでは旧CLPシリーズなどに搭載されていましたが、現在はより進化したGrandTouch系の鍵盤に取って代わられつつあります。中古市場ではまだ多く見られるグレードです。
NW-GH3(Natural Wood GH3):天然木材を使ったプロ仕様
NW-GH3は、「Natural Wood」の名の通り、鍵盤に天然木材を使用したグレード。具体的にはCP88という、プロ向けステージピアノに搭載されています。
ヤマハ公式の製品説明によると、この鍵盤は「100年以上のアコースティックピアノ製造経験」に基づいて設計されており、天然木材の持つ重厚なタッチと、吸湿性に優れた象牙調・黒檀調のキートップが特徴です。3センサーとエスケープメント機構も備えており、高速連打にもしっかり応答します。
英語圏のレビューサイト「FLYKEYS Music」による2025年の比較記事(2026年時点でも参照可能なレビュー)では、CP88の鍵盤は「プロのピアニストが求める最速のレスポンス」と評価されていました。ただし、木製ゆえに重量は23kg近くあり、持ち運びを前提とするバンドマンにはやや重めという声もあります。
GrandTouch-S:最新技術が詰まった最高峰グレード
GrandTouch-Sは、ヤマハの現行ハイエンドホームピアノであるCLP-745などに搭載されている最新の鍵盤です。木材と合成素材を組み合わせたハイブリッド構造で、NW-GH3よりもさらに広いダイナミックレンジを実現しています。
このグレードの大きな特徴は、「VRM(仮想共振モデリング)」という技術と組み合わさっていること。ペダルの踏み込み深さに応じて弦の共振が連続的に変化し、アコースティックピアノにより近い鳴り方をします。FLYKEYSのレビューでは、CLP-745の「サウンドリアリズム」スコアが比較対象中最高の9.7/10を記録しており、GrandTouch-Sは「軽めのタッチ」で長時間の演奏でも疲れにくいと評されています。
価格帯は20万円前後からとなり、初心者というよりは、本格的な自宅練習用として上級者やピアノ講師が選ぶことが多いグレードです。
BHS(Balanced Hammer Standard):軽量・バランス型の舞台向け
BHSは、CP73(73鍵盤モデル)に搭載されている鍵盤です。88鍵盤のモデルではありませんが、CP88とセットで語られることが多いため、ここで触れておきます。
このグレードの最大の特徴は、バランス(均一)型のタッチであること。漸層ではなく、全鍵域で同じ重さになっているため、オルガンやシンセサイザーからの乗り換えがスムーズです。また、CP73の本体重量は13.1kgと非常に軽量で、持ち運びを前提としたステージ演奏やバンド活動に向いています。
ヤマハ公式サイトのCP88/73シリーズ紹介ページでも、CP73は「軽量コンパクトなボディとバランスハンマーアクションを採用したステージピアノ」と説明されており、CP88とはターゲットユーザーが明確に異なります。
結局、どの鍵盤グレードを選べばいいの?
ここまで5種類の鍵盤グレードを比較してきました。読者の方によって、予算や目的はさまざまだと思いますので、ここで簡単な選び方の目安をまとめてみます。
初心者で予算を抑えたい方 → GHS(P-125やP-45)が無難です。値段が手頃で、自宅練習に必要な基本性能はしっかり備わっています。先述の通り、予算との相談でP-45とP-125のどちらかを選ぶのがよいでしょう。
中級者以上で自宅に据え置きとして使いたい方 → GrandTouch-Sを搭載したCLPシリーズがおすすめです。値段は張りますが、アコースティックピアノに近いタッチと音響体験が得られます。FLYKEYSのレビューでも音響面の評価が極めて高く、「アップライトピアノの購入を検討している人が、近隣騒音を気にせず練習するための代替案」としても有力です。
プロやバンドマンで持ち運びも考える方 → CP88(NW-GH3)か、持ち運び重視なら73鍵盤のCP73(BHS)を検討してください。CP88は重量がありますが、木製鍵盤の本格的なタッチが得られます。CP73は軽量でバランス型なので、キーボーディストがサブ機として持つのにも適しています。
「とにかく本物のピアノに近いものがほしい」というこだわり派の方 → GrandTouch-SかNW-GH3を搭載したモデルを中心に、実際に楽器店で試奏してみることをおすすめします。カタログスペックだけでは伝わらない「しっくりくる感覚」が必ずあります。
ヤマハの88鍵盤電子ピアノで後悔しないために
今回の比較でお伝えしたかったのは、「同じヤマハの88鍵盤でも、鍵盤の感触がここまで違う」ということです。特に初心者の方が「とりあえず安いモデルでいいや」とP-45を買ってしまい、数年後にP-125やCLPシリーズと触り比べて「やっぱりこっちにしておけば…」と後悔するケースは、実際の口コミサイトやSNSでもよく見られます。価格.comのレビューやXでの投稿を確認すると、「P-125のGHS鍵盤は高音域が軽すぎる」という指摘が複数ありました。
また、意外と知られていないのが「鍵盤の経年劣化」です。特に合成樹脂製の鍵盤は、長年使い続けるとタッチの感触が変わることがあり、この点について言及している日本語の比較記事はほとんどありません。中古品を購入する際には、できるだけ実機を確認するか、新品を選ぶことをおすすめします。
ヤマハ公式サイトで公開されている各モデルの仕様を改めてチェックし、そのうえで実際に楽器店に足を運んでみてください。この記事が、あなたにとって「自分に合った1台」を見つけるための、ひとつの道しるべになれば幸いです。

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