「カワイの電子ピアノ、評判はいいけど、どのシリーズを選べばいいんだろう…」
楽器店に並ぶ複数のモデルを前に、そんな悩みを抱えている方は少なくありません。実際、私も購入前に同じように迷いました。
結論から言うと、カワイの電子ピアノで後悔しないためには、予算と演奏スタイルから「木製鍵盤の本格派CAシリーズ」「コスパ最強のミドルレンジCNシリーズ」「持ち運びできるESシリーズ」「初心者向けKDPシリーズ」の4つに明確に分けて考えることが重要です。
この記事では、メーカーの公式情報(2026年7月時点)をもとに、各シリーズの特徴を整理しつつ、カタログスペックだけではわからない「実際の弾き心地」や「長く使うためのポイント」まで掘り下げて解説します。あなたの目的にぴったりの一台を見つけるための、具体的な選び方の指針をお届けします。
カワイ電子ピアノの魅力とは?他社と何が違うのか
電子ピアノ市場には、ヤマハやローランドといった強力な競合が存在します。その中でカワイが独自のポジションを築いている理由は何と言っても 「アコースティックピアノの感覚をいかに電子ピアノで再現するか」 に徹底的にこだわっている点です。
1927年創業のピアノメーカーであるカワイは、グランドピアノの製造で培ったノウハウを電子ピアノにフィードバックしています。特に、鍵盤の素材や機構には他社にはない独自の哲学が感じられます。
例えば、カワイは上位モデルに木製の鍵盤を採用していることで知られています。これは単なる高級感ではなく、アコースティックピアノの鍵盤と同じ素材を使うことで、水分の吸収による質感や、打鍵時のしなり具合まで再現しようという狙いがあります。公式サイト(https://www.kawai.jp/product/electronicpianos/action/)では、各アクション機構の違いが詳細に解説されており、木製鍵盤とプラスチック鍵盤の構造的な違いを確認できます。
カワイ電子ピアノ主要4シリーズを比較:あなたに合うのはどれ?
カワイの電子ピアノは大きく分けて4つのシリーズが存在します。それぞれの立ち位置を明確に理解することが、選び方の第一歩です。
圧倒的な本格派:CAシリーズ(コンサート・アーティスト)
CAシリーズはカワイのフラッグシップモデルです。代表的な機種であるCA901やCA701は、グランドピアノの演奏感覚をそのまま自宅に持ち込むことを目的に設計されています。
鍵盤には最上位の「Grand Feel III」アクションが採用されており、木材をふんだんに使用した構造が特徴です。このシリーズの鍵盤は、単に重いだけでなく、押し込んだ時の反発力や、鍵盤が戻る際のスピード感まで、アコースティックピアノに限りなく近づけられています。
音響面でも、CA901には6つのスピーカーを搭載し、音がピアノ本体から立ち上がるような「空間広がり」を重視した設計です。価格帯は40万円前後からと決して安くはありませんが、「家にいながらにしてコンサートホールのピアノを弾いている気分になれる」と、多くの上級者やピアノ講師から支持を得ています。
コスパと本格派の融合:CNシリーズ
CNシリーズは、「木製鍵盤のタッチをより多くの人に」というコンセプトのミドルレンジモデルです。CN301やCN201が代表的で、価格帯は15万円から30万円程度に設定されています。
CAシリーズの「Grand Feel」に対し、CNシリーズは「Grand Feel Compact」アクションを採用。CAほどの重厚感はないものの、木製鍵盤ならではの自然なタッチは十分に味わえます。スペックだけを見るとCAの下位モデルに見えますが、実際に弾いてみると、このCNシリーズのバランスの良さに驚く方が多いです。
スピーカーは4つ搭載されており、リビングルームで十分な音量と表現力を確保できます。「CAシリーズまでは手が届かないけど、エントリーモデルでは物足りない」という方のための、まさに「ちょうどいい」シリーズと言えるでしょう。
コンパクトでアクティブ:ESシリーズ(ポータブル)
ESシリーズは、本体にスタンドが付属しないスリムなボディが特徴のポータブルタイプです。ES920やES120が人気で、価格は8万円から20万円台と幅広いです。
このシリーズの最大の特徴は、軽量でありながら「RHIII(レスポンシブ・ハンマーIII)」という高品質なアクションを採用している点です。RHIIIはプラスチックと木製芯を組み合わせた構造で、コンパクトなボディながら、しっかりとした打鍵感を実現しています。
特にES120は初心者から中級者まで幅広く支持されており、バンド練習やライブハウスへの持ち運びにも適しています。自宅での練習用としてはもちろん、セカンドピアノとして購入する方も少なくありません。音色面では、グランドピアノの繊細な響きから力強いフォルテまで、よく再現されています。
初心者に優しい入門モデル:KDPシリーズ
KDPシリーズは、カワイの電子ピアノの中でも最も手頃な価格帯のエントリーモデルです。KDP120が代表機種で、価格は10万円から15万円程度です。
鍵盤には「RHC(レスポンシブ・ハンマー・コンパクト)」アクションを採用。RHIIIの技術をベースにしながらも、より軽快で初心者が弾きやすいように調整されています。音源は上位モデルと同じ「ハーモニック・イメージング」技術が使われており、価格帯の割に音色のクオリティは非常に高いと言えます。
「子供のピアノの習い事を始めるにあたって」「大人になって久しぶりにピアノを再開したい」といった方にとって、最初の一台として最適なシリーズです。
他社と比較した時のカワイの立ち位置
カワイ電子ピアノを語る上で、ヤマハやローランドとの比較は避けて通れません。ここでは、あえてカワイの「ちょっとクセがある」と言われる部分にも触れてみます。
カワイの「タッチの重さ」は本当に重いのか?
よく耳にするのが、「カワイの電子ピアノはタッチが重い」という声です。実際、ヤマハの「GH3(グランドハンマー3)」鍵盤や、ローランドの「PHA-50」鍵盤と比較すると、カワイのRHIIIアクションやGrand Feelシリーズは、特に押し始めの重量が重めに設定されている傾向があります。
しかし、これは単に「重い」のではなく、アコースティックピアノの「ピアノ(弱奏)からフォルテ(強奏)までのダイナミックレンジを広く取る」というカワイの設計思想に基づいています。つまり、弱いタッチでは軽く、強く叩けば重くなるという、表現力の幅を重視しているのです。
そのため、「とにかく軽くて弾きやすいピアノが欲しい」という方には向かないかもしれません。逆に、「クラシックの練習を通じて、しっかりとした指の力を育てたい」という方や、「発表会で使うアコースティックピアノに近い感覚で練習したい」という方には、この「重さ」が大きなメリットになります。
音色の傾向:クリアで柔らかい響き
音色の傾向として、カワイは「クリアで柔らかい」と表現されることが多いです。ヤマハが比較的明瞭でアタックの強い音、ローランドがリッチでエフェクト感のある音だとすれば、カワイは「響きの美しさ」を追求したナチュラルなサウンドと言えます。
特に、カワイのフラッグシップグランドピアノ「Shigeru Kawai(シゲルカワイ)」の音色をサンプリングしたモデルでは、倍音の豊かさや減衰の美しさが際立ちます。これは、ヘッドホンで聴くとより顕著に感じられるポイントです。
購入前にチェックすべき3つのポイント
ここまで各シリーズの特徴を説明してきましたが、実際に購入を決断する前に、以下の3点を必ず確認してください。
- 予算だけでシリーズを決めない:予算が15万円だからといって、必ずしもKDPシリーズが正解とは限りません。中古のCNシリーズやESシリーズを検討するなど、選択肢を広げてみるのも手です。
- 必ず実機を試弾する:どれだけスペックを読んでも、タッチや音色の好みは人それぞれです。特にRHIIIとGrand Feel Compactは、同じ「木製」でも結構フィーリングが違います。可能であれば、楽器店で実際に指を置いてみてください。
- アプリ連携の使い勝手を確認する:カワイは「PianoRemote」という公式アプリ(https://www.kawai.jp/product/electronicpianos/apps/pianoremote/)を提供しており、Bluetoothで接続することで音色の切り替えや内蔵曲の再生が行えます。しかし、実際のレビューを見ると、接続の安定性については評価が分かれることもあるようです。このアプリをどの程度活用したいかも、モデル選びの一つの基準になります。
まとめ:カワイ電子ピアノで理想の一台を
カワイの電子ピアノは、単なる「電子楽器」ではなく、「自宅でいかにピアノを楽しむか」という哲学が詰まった製品群です。
- アコースティックピアノに限りなく近い経験を求めるなら CAシリーズ(CA901やCA701)
- コストパフォーマンスと本格派のバランスを取るなら CNシリーズ(CN301)
- 持ち運びやスペースの制約があるなら ESシリーズ(ES120やES920)
- まずは手軽に始めたいなら KDPシリーズ(KDP120)
どのシリーズにも一貫しているのは、「ピアノを弾く喜び」を最優先にした設計です。価格.comなどのレビューを見ても、「タッチの良さ」を評価する声が圧倒的に多いのが特徴です。
あなたがピアノに何を求めるのか。それを明確にすれば、自ずと選ぶべきモデルは見えてきます。ぜひこの記事を参考に、あなただけの一台を見つけてください。

コメント